あけびという植物は秋になると鮮やかな紫の細長い実を付け、昔から食用とされており、実はゼリー状でとても甘く、子供に人気がありました。
しかし実は傷みやすく、長期輸送に向いていないためあまり市場に流通しておらず、実物を見たことがない人や食べたことのない人も多いと思います。
私は子供の頃、東北地方の田舎で育ったので、山に自生しているあけびを見つけた時はあまりの珍しさに飛び上るほど喜んだのを今でも覚えています。家に持ち帰って食べてみましたが、種が多くてかなり苦戦しました。
そんなあけびに毒性があるのでは?と言う噂がありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
あけびの毒性について
あけびの花や種に毒性があると言う話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、実際あけびに毒はありませんので、安心して食べて大丈夫です。
ではなぜあけびに毒があるという話が広まったのでしょうか?
中国の漢方薬で勘違い?!
あけびのツル状の茎は漢方薬として使用され、「木通」と呼ばれています。
そして、「木通」とよく似た名前の漢方に「関木通」という漢方薬が存在します。
この「関木通」はキダチウマノスズクサという植物から作られる漢方薬で、このキダチウマノスズクサに毒性があることが分かっています。腎臓の障害を引き起こす可能性のある成分、アリストロキア酸が含まれており、長期間の服用は危険です。
中国では名前が似ていることもあり、「木通」と「関木通」を勘違いし、木通だと思って関木通を長期間飲み続け、思わぬトラブルが発生し、問題になったことが背景にあります。
こうしたことから「木通」にも毒性があるという勘違いが広がり、あけびに毒性があるという話に発展したと考えられています。
あけびの栄養と効能
あけびに毒性がないことが分かりましたが、実際のあけびの栄養と効能について見て行きましょう!
栄養
あけびのゼリー状の実の部分にはビタミンCが多く含まれ、シミなど肌荒れの予防効果が期待できます。
また実を包んでいる皮の部分も食べることができます。
皮の部分にはカリウムが多く含まれています。カリウムには利尿作用があり、余分な塩分を体外に排出してくれる働きがあります。高血圧の改善に効果が期待できます。
皮の部分は少し苦みがあるので、食べやすい大きさにカットしてからアク抜きをすることで、苦みを緩和することができます。
食べ方としては天ぷらや肉詰めがおすすめです。
あけびを育ててみよう
最近ではあけびを鑑賞用として栽培する人も増えています。
あけびには主に2種類あり、子葉が3枚にわかれたミツバアケビと、子葉が5枚にわかれたアケビがあります。
あけびの特徴
あけびは3月~5月の春に花を咲かせます。秋に実を付け、9月~10月ごろ収穫が可能になります。皮がパックリ開いて実が見えたら収穫の目安です。
暑さと寒さに強く、育てやすい植物です。
あけびはツル植物ですので、鉢植えに支柱を立てて栽培しましょう。
また、実を付けるためには受粉が必要で、異なる品種のあけびを近くで育てるようにします。4株程度同時に育てるのがいいと思います。
種から育てると3年以上かかるので、苗を購入するのがおすすめです。
栽培環境
あけびは日光を好みますので、日当たりのよい風通しの良い場所で育てましょう。
使用する土
土は水はけの良い土を使用します。
市販の果樹用培養土でも大丈夫です。
水やり
鉢植えの表面の土が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷり水をあげましょう。
夏の暑い時期は1回の水やりだけでは乾燥してしまうため、朝と昼に様子をみて、土が乾いているようなら複数回水をあげるようにしましょう。
肥料
肥料は2月、5月、10月の年3回、有機質肥料か速効性のある化成肥料を与えます。
ブドウ用の肥料でも大丈夫です。
注意する病気
うどんこ病
うどんこ病は植物にカビの菌が住みつき、葉が白くなる病気です。
あけびはうどんこ病になりやすく果実に発生すると、きれいな色や形にならず大きな被害を与えます。
発病した場合はすぐに防除する必要があります。
害虫
アブラムシ
アブラムシはあけびの汁を吸うので、見つけたら早めに駆除しましょう。放っておくと果実の成長に影響が出る可能性があります。
イモムシ
イモムシも見つけたらすぐ駆除します。そのままにしておくと、葉を食べつくしてしまいます。
植え替え
成長度合いに応じて、2〜3年に1回植え替えをします。
収穫
9月〜10月になると紫の実を付け、収穫できるようになります。
家庭であけびを栽培するイメージはあまりないと思いますが、丈夫で手間もほとんどかからないので初心者の方にもおすすめです。
ぜひこの機会にあけびを家庭で栽培してみてはいかがでしょうか?
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